・TimeLetter『DEAR』

私は鍵を引き抜き、郵便物を配達員さんから直接手渡しで受け取った。

配達員さんから直接手渡しされる事など、滅多にないな。
書留とか、本人確認の必要な受領印が欲しい時くらいしか配達員さんも玄関チャイムを押さないし。
ポストに入る物ならば、大抵がポストインされているからだ。


受け取った郵便物は、殆どがダイレクトメールなどで。
直接手渡ししなければいけない様な、大事な郵便物ではなさそう。

あぁ、そっか。
配達中に、たまたま私が外にいたから声をかけられただけなのかな。
なんて思っていた。


「ん?」


受け取った郵便物の中から、可愛いキャラクターものの封筒が目に留まる。
他の郵便物を小脇に抱え、私はキャラクターの封筒の宛名を確認した。


さっきの配達員さんったら、間違えてお隣の女の子宛の手紙までうちに置いて行ったんじゃないでしょうね?


でも、住所はうちで間違っていない。
だけど明らかに子供の字で書かれた宛先だ。


『瀬戸川香澄様』


私宛だ。
一体、誰から手紙が届いたの? と、そのまま送り主を確認するために封筒を裏返し、送り主の名が記入されている右下に、何気なく視線を落とす。


『市立吉岡中学校三年 瀬戸川香澄』


……私⁈


驚きつつも、よく見れば見覚えのある少し丸みを帯びたクセ字。
封筒に使われているキャラクターは、私が子供の頃に好きだったプリンセス柄。
キラキラのシールが沢山デコレーションされていて……。


「あ! これって」


その手紙は、私が中学生時代に卒業記念の一環として書いた「未来の私への手紙」だったことを思い出した。

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