第3者恋
「はぁ〜」

「ちょっと、春野さん?!」


私は力尽きてしまいその場にしゃがみこんでしまった。


「…大丈夫?」

「怖かったですね…。本物の不良相手に出来るほど私は強くないんですけど…。」

「……っ!」

「わっ!」


私、水永先輩に抱きしめられてる?!

なんでーーーーーー!


と言うかみんな私達の事見てるってのに水永先輩は全く動じて…。


落ち着いてみると水永先輩の心臓の音がどくんどくんと聞こえてくる。


この匂い


この温もり


大好きになりそう…。


「あっ…。ご、ごめんね」

「…、いえ…。」


無理だ顔なんか合わせられない。


こんな感情、私は知らなかったのに…。


『華奈それは…恋だよ!』


この前祈音に言われた時はあまり実感わかなかったけど、今なら確実に分かる。


―私、水永先輩に恋しちゃったんだ…。


「ん…、やば!雨降ってきた」

「わっ!」

「春野さん走って帰ろう。」

「はい」


ポツリポツリと、私の頬に雨の雫が流れてくる。


私の熱さを冷ますかのようで、嬉しいけど、悲しくってなんだか胸が痛かった。
< 84 / 160 >

この作品をシェア

pagetop