不思議に不思議な彼女と僕
大輪の花を咲かせる黄色いひまわりの絵に縁どられた便箋。
ひまわりはあの人が一番好きな花で、黄色はあの人が一番好きな色だ。
書き終えた便箋を二つに折って、丁寧に封筒にしまい込む。
しっかり糊付けして切手を貼って、宛名が間違っていない事を確認したうえで立ち上がる。
慣れない作業で肩も腰も凝り固まって、動かすと思わず顔が歪んでしまうほどに鈍く痛んだ。
けれど、同時に痛みに勝る達成感もこみ上げる。
中身の入った封筒を手に部屋を出かけ、思い出して慌てて机に戻ると、まだ使っていないまっさらな封筒を一つ手にして「よしっ」と独りごちて今度こそ部屋を出る。
自然と軽くなる足取りで階段を下りると、玄関で靴を履いて外に出る。
当然のように、お向かいの家が目に付いた。
いつもわざわざ窓を開けて、笑顔で手を振ってくれていたあの人は、今はもうそこにはいない。
ここよりもっとずっと田舎の方、緑が豊かで時々野生動物がひょっこり庭に現れるようなのどかな場所に、あの優しそうな眼鏡の男性と共に行ってしまった。