君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜



流人はおばあちゃん達への最高のプレゼントを思いついた。


「俺さ、施設の人にサンタを頼まれた時に、歌も歌えって言われると思ってたんだ。
でも、それがないのなら、皆の前で演歌を歌ってやるよ。

カラオケってあるかな?」


きゆは、流人のアイディアに思いっきり乗ってしまった。
なぜなら、施設から出られないお年寄りが、夏祭りに流人がカラオケ大会で優勝した話を聞いて、寂しそうな表情を浮かべて見たかったなと呟いていたから。


「カラオケはあるよ。私、見たことあるから」



「じゃあ、選曲だな…」



「でも、その前に流ちゃん演歌知ってるの?」



「う~~ん」


きゆはいい事を思いついた。


「施設の人に電話して、流ちゃんのそのアイディアを話していい?
それで、どの唄が喜ばれるか聞いてみて、今夜でユーチューブ観て覚えるしかないよ」


流人は大きく頷くとわざと発声練習を始め、きゆを笑わせた。

きゆは流人と居れる島での時間を、有意義に大切に過ごしたいと思っている。
流人は必ず島から出て行く人間だから。

本人が何と言おうと、それは変わらないし変えちゃいけないことだから。




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