HEAVEN ROAD
「アイツのことはわかってたんだ」



「アイツ?」



ポケットからクシャクシャになった煙草を取り出し、火をつける豊。



高校生の癖にみんなで煙草なんか吸いやがって。



「静香がなんで俺と付き合ってたか」



「知ってて付き合ってたんだ」



「付き合ってから、秀に聞いた。翔と昔付き合っていたことも」



「そう」



翔も豊もこうやって自分の気持ちを話してくれるけど、あたしにはどうしてもピンとこない。



それは恋愛をしたことがないから。



それだけではなく、人に関わらないように生きてきたから。



「信じたくなかった。秀の言っていること。静香のことを信じたかった。でも、心の中でいつも疑ってる自分がいて、翔にも何も言えなかった」



「それが好きってことなんだね」



普通だったらムカつくとか腹が立つ、嫌いになるということでも好きって気持ちは、その感情とはまったく別物の気持ち。



寧ろ、好きだから許せてしまう、打ち消されてしまうんだろう。


翔と豊の話を聞いていてそれだけは理解することができる。
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