御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「まさか!信じたわけはないよ。でも大事な将生の将来がかかってるからね。兄としてはきちんと確認したかったんだ」

うんうんと頷いて自分の言葉に酔う常務に係長は厳しい。

「なに良い人ぶってんだか。噂にかこつけて香奈美さんに会いたかっただけだろ。仕事あるのに無理やり調整させて。しかもあんな派手に連れてって!香奈美さんが色々言われて、迷惑かかるって分かってる!?」

「そんな感情丸出し将生の顔が見れるなら、多少の無理なんてどうという事はないよ」

にっこりと微笑んで係長の怒りをかわすと私に視線を向ける。

「鈴木さんも迷惑なんて思わないよね?」



いや、完全に迷惑ですよ。言えないけど。あと、無理して調整したのは秘書の中根さんですよ。これも言わないけど。



はぁ、と軽く息を吐きながら答える。

「まあ、大丈夫だとは思います。それより、噂が間違いだと分かって頂けたのならもう、席に戻っていいでしょうか?」
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