御曹司様のことなんて絶対好きにならない！

「うん、ありがと。ごめんね」

「被害者のくせになに謝ってるのよ！」

あやまる私に一喝すると、２人組を鋭い視線で睨む。

「あんた達には前から一言いいたかったのよ。なんなの、あの噂。嘘しかないし、品がないし。それ以前に面白くもないわ！」



知恵ちゃん、仮にも友だちの噂に面白さを求めないでよ‥‥。



こんな事態なのに思わずジロリと睨むと、コホンっと１つ咳払いして言い直した。

「とにかく悪意しか感じない、ユーモアも感じない最低の噂ってことよ。その程度の噂しか考え付かないあんた達も最低だからね」


知恵ちゃんの迫力に怯んだのか、彼女達は無言のまま更衣室を出て行った。

「ありがとね」

言いたい事はあるけど、とりあえず素直にお礼を言うと、「お礼なんていいのよ」とぶっきらぼうに言った。