御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
ふわふわした幸せに包まれてる感覚にそっと体の力を抜いて、係長の胸にもたれる。

「振られなくていいなんて嘘みたいです」

心からの幸せを込めて言ったのに、係長の返事は凄く不本意そうだ。

「振られるはずないでしょ。俺こないだ、あんなに必死に告白したのに」

「係長のは恋愛感情の告白じゃなくて、人生の告白でしたから」

「そっちの方が重大な告白でしょ?‥‥俺の人生知って欲しいってことなんだから」



無自覚にそんなプロポーズみたいなこと言わないで欲しい。この状況だと、そうだと思ってしまいそうだ。



「でも、女子としてはやっぱりちゃんと言って欲しい、です」

もそもそと言う私の体と少しだけ距離を取って、じっと見つめられる。

「香奈美、こっち見て」

初めて呼び捨てられた名前を聞いてパッと係長の顔を見上げる。
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