御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
後ずさった私に坊っちゃまは更に一歩近づく。

「ちょっとは意識してくれた?」


形の良いアーモンドの瞳に魅入られて催眠術にかかってしまいそう。脳内でヤバイと危険信号がなってるのに視線がそらせない。


その時、坊っちゃまがふっと表情を緩めて空気から緊張感が消えた。

「とは言え、とって食ったりはしないから安心して。ちょっと宣戦布告したかっただけ。じゃ、お疲れ様でした」

微笑んで踵を返す坊っちゃまを見送って、私はボスンっと会議椅子に座った。


なによ、あれ。足に力が入らないじゃない。
勝手に宣戦布告とか、本気出すとか。


熱が引かない頬を押さえながら脳内で文句を呟く。全てが突然過ぎて理解出来ない。


でも決してイヤじゃない。


それだけはハッキリしていて、‥‥困る。

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