御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
でも、もう気持ちに気付かないフリはしない。気持ちに蓋もしない。



‥‥って決めては来たんだけど難しいなぁ。



急かされるまま注文を済ませると、テーブルに両肘を付いて両手で口元を隠した坊っちゃまに見つめられた。

「昨日の今日だから、ホントは断られるんじゃないかって思ってたんだ。来てくれて凄く嬉しい。ありがとう」

「ランチ来たくらいでお礼言わないでください。それにいつもご馳走になって、お礼言わなきゃいけないのは私の方ですから」

いつも通りの憎まれ口を言ってから一言、付け加える。

「‥‥私も係長とのランチ、イヤじゃないので」


言い終わってから上目遣いでチラリと向かいを見ると、坊っちゃまは目を見開いてポカンとしている。


そんな驚くことないじゃない。


そんな顔されたらもっと恥ずかしくなる。
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