ずるいです……部長。


ずるいです……部長。

いち部下の私にこんなことしちゃ、もう、私……


「部長っ……!」


「ん?」


「お、同じ部屋に……泊まりません?」


すると、一瞬目を見開いたかと思ったら、すぐに優しく微笑む部長。


(悔しいっ……こっちは、いっぱいいっぱいなのに。余裕たっぷり……)


なんなんですか、その笑顔。あなた、本当に部長ですか!?

ふっ、と笑うと部長はこう言った。


「……俺を誘っているのか?」


口元を歪ませて、意地悪に笑う部長。

切れ長のその千里眼のような目が、私の気持ちを全て、見透かしているよう。


「そ、そうです!」


「……根性あるな」


「へっ?」


それだけ言うと、部長はお酒をくいっと飲んで、お代わりを注文した。

ウェイターさんはすみやかに新しいお酒を運んでくる。



あれ……私のさっきのお願い……


な、流されちゃった?



< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop