借金取りと私の関係【完】
曖昧な返事をしてしまえば、私はきっと嫌だと言ってしまう。



引き返せないんだぞ、と思い込ませたかった。



「何されてもいいんだ?」



「…お金がもらえるなら」



「何十人って男がいても?」



試すような男の目の中には、自分の姿が写っていた。



決めた覚悟を揺らがせたくはない。



「お金が、もらえるなら」



「…へぇ」



男は私の返事を聞くと、口の片端を持ち上げて軽く頷いた。
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