借金取りと私の関係【完】
「せっかく帰ってきたのに、そんな顔するなよ」



家に帰ると、黒崎さんがいつものソファに腰を下ろす。



「い、いつもの顔ですよ…」



「いつもそんな辛気臭い顔してないよアンタは」



呆れたように笑った黒崎さんは、まるで何も聞きたくないとでも言うようにテレビをつけた。



「黒崎さん」



「んー?」



テレビから視線を逸らさないまま、黒崎さんが返事をする。



「あの…」



自分の足元を見ては、声を絞りだそうと息を吐いて。
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