借金取りと私の関係【完】
睨むように黒崎さんを見上げた瞬間、ポロっと1粒の涙が、頬を伝ってしまった。



慌ててそれを拭う。



「…アンタの親父が金を借りた会社はこういう所だよ」



フッとバカにしたように笑った黒崎さんは、そのまま玄関の方へと向かう。



「今日は帰るから、また明日から頑張って」



そう言うが早いか、黒崎さんはドアを開けて行ってしまった。



まさかとは思うが、気を遣ってくれた?



「…なわけないか」



ジンジンと熱い耳を押さえて、私は首を振った。



これから始まる生活に、ただただ不安を覚えながら_____
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