誓いのキス
「ふぅ」
ひと息吐けば気持ちも切り替わる。
ずっとそうしてきた。
もう大丈夫。
「新郎役、ありがとうございました」
撮影はもうすぐ終わる。
カメラのシャッター音はピークを超えていた。
だから急な願いを聞いてくれた彼に礼を言い、祭壇を降りる。
と、その時、彼が私の腕を掴んだ。
「お世辞じゃないと言っただろう。それに本当に思うんだ。君のような女性と結婚出来る男は幸せだろうと」
ずるい。
この人はずるい。
そんな事言うなんて。
タイミングよくカメラマンが指示を出してくれなければ泣いていたかもしれない。
「新婦ー!最後に新郎に向かって一番美しい顔を」
最後に…
そうだ。
こういう機会がなければ、絶対に叶わなかったた事。
一度だけ。
あなたに触れて良いですか。
本来は新郎から与えられる誓い。
それを私から彼の頬に。
彼が好きだと言ってくれた笑顔とともに。
言葉には出せない想い。
決して誓えない誓いのキス。
彼に伝わったかはわからないけど。
いや、伝わってはいけない。
神様が許さないはずだから。
だからこれで良かった。
この想いはもう封印する。
彼の左手薬指に誓って。
ひと息吐けば気持ちも切り替わる。
ずっとそうしてきた。
もう大丈夫。
「新郎役、ありがとうございました」
撮影はもうすぐ終わる。
カメラのシャッター音はピークを超えていた。
だから急な願いを聞いてくれた彼に礼を言い、祭壇を降りる。
と、その時、彼が私の腕を掴んだ。
「お世辞じゃないと言っただろう。それに本当に思うんだ。君のような女性と結婚出来る男は幸せだろうと」
ずるい。
この人はずるい。
そんな事言うなんて。
タイミングよくカメラマンが指示を出してくれなければ泣いていたかもしれない。
「新婦ー!最後に新郎に向かって一番美しい顔を」
最後に…
そうだ。
こういう機会がなければ、絶対に叶わなかったた事。
一度だけ。
あなたに触れて良いですか。
本来は新郎から与えられる誓い。
それを私から彼の頬に。
彼が好きだと言ってくれた笑顔とともに。
言葉には出せない想い。
決して誓えない誓いのキス。
彼に伝わったかはわからないけど。
いや、伝わってはいけない。
神様が許さないはずだから。
だからこれで良かった。
この想いはもう封印する。
彼の左手薬指に誓って。

