副社長とふたり暮らし=愛育される日々
こんなふうに独占されて、甘く触れられると、嫌でもドキドキさせられてしまう。

副社長……朔也さんは、こうして私に愛というものを教えてくれているのかもしれないけど、ますますわからなくなっているのが正直なところ。

同じことを別の男性にされて、ドキドキしなかったり、不快に感じたりすれば、朔也さんは特別なのだとわかるのかな。

……あ、そういえば海都くんにも抱きしめられたっけ。あれはアメリカ流の挨拶としてのハグなんだろうけど。

あの時もそれなりにドキッとはしたよね……。うーん、やっぱり恋って謎!

ひとり思い悩んで悶々としていると、朔也さんは私を解放し、布団をめくりながら、思い出したように「あ」と声を漏らす。


「ひとつ、大事なことを言い忘れてた。Mimiの件で」

「なんですか?」

「新しい香水を作る企画を進めてるんだよ。りらプロデュースの」


彼の隣に腰かけて問いかけた私は、淡々と口にされたひと言を理解した瞬間、目を見開く。


「えぇっ!? 私が……香水をプロデュースするんですか!?」


思わず朔也さんの服の袖を掴んで叫んでしまった。彼はいたって普通に「あぁ」と頷く。

プロデュースって、有名なモデルや女優さんがやることでしょう? それをヒヨッコ以下の私なんかが……ってどういうこと!?

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