副社長とふたり暮らし=愛育される日々
静かな車に揺られながら、明るすぎる都会の街を眺める。

明智さんもこのあたりにいたということは、さっきまで朔也さんと一緒だったのだろうか。

人混みに消えていくふたりの姿を思い出し、痛む胸をなんとかごまかしたくて、できる限りの明るい声で明智さんに話しかける。


「本当にありがとうございます。こんなところで明智さんに会うとは思いませんでした」

「副社長が用事があるとのことで、新宿駅まで送ったあと、私用を済ませて帰っている途中だったんです」


淡々と答える彼が、ミラー越しに見える。

やっぱり、仕事が終わってから朔也さんとここまで来たんだ。明智さんは、今日朔也さんと三嶋さんが会うことは知っていたのかな。

ふたりの関係も知っているの?……と聞いてみたくなるけれど、私の口から出るのは当たり障りのない言葉。


「そうだったんですか。よく私だって気づきましたね」

「のっそり歩いてる人がいるなと思って、なんとなく注目していたら見覚えのあるお顔だったので」


そんなに目立つほどのっそり歩いていたのか、私。まぁ、かなりのダメージを受けていたからな……。

苦笑を漏らしていると、明智さんはちらりと私に目を向け、何気ない調子で言う。

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