その灯火が消えるまで



「貴也。

今日までありがとうございました。

おかげで私、すっごい楽しかったよ!」


「ああ」


俺を見上げて、一生懸命話す結灯。



「蛍太郎をよろしくね!
私の代わりだと思って!」

「たった1ヶ月で大袈裟だな」


結灯はふふ、と笑ってしゃがみ、
蛍太郎の鼻に自分の鼻をくっつける。



「蛍太郎、貴也を頼んだよ」

「ワンッ!」


結灯は蛍太郎の頭を撫でて立ち上がる。



「じゃあね、貴也」

「ああ。またな」


結灯はにこっ、といつものように笑って



「ありがとう」



そう言って、
背を向けて歩き出した。

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