王様男と冷血男の間で
許婚発覚!
円は今日20歳になった。

自分も晴れて大人の仲間入りだと浮かれている円に
両親は話があると円をリビングに呼んだ。

「円、おまえもようやく20歳になった。
もう大人の仲間入りだな。」

リビングのテーブルにはバースデーケーキが置いてあり、
円は父親から何かすごいプレゼントがあるんじゃないかと期待していた。

そして父親は円の思った通り、円の前にプレゼントを置いた。

プレゼントは高級ブランドバッグと腕時計と一粒ダイヤのネックレスが入っていた。

3つもプレゼントが入っていて喜んでいた円だが、
父親はもう一つプレゼントがあると円の前に金色の表紙の明らかに写真と思える物を置いた。

「何これ?」

円がその表紙を開いて見ると胸から上のスーツ姿の男の写真だった。

「誰?この人…」

父親は少し間を空けて

「お前の婚約者だ。」

と言った。

暫くの沈黙があり

「え〜〜っ!?」

と円は驚いて大きな声をあげた。

「ちょっ…パパ!どういうこと?」

父親は涼しい顔で

「お前には決められた許婚がいる。」

と言った。

円は今日までそのことを知らなかった、

「お見合い相手じゃなくていきなり婚約者?
会ったこともない人と?

こんなの認めないから!

私、好きな人いるもん!

てゆーか、何?いまどき許婚って?」

「亡くなったおじいちゃんが決めたことだ。

来週の日曜に顔合わせすることになってる。

これはおじいちゃんが先方と約束したことなんだ。

結婚はすぐにって訳じゃない。

でも円にはそのつもりで行動して欲しい。」

円は祖父が大好きだった。

いつも円の味方でとても優しい人だった。

そういえば祖父からよく聞かされたことがある。

「大人になったら素敵な王子様が円を迎えに来るんだ。」

とか

「じいちゃんが円が大人になったら素敵なプレゼントをあげるよ。」

とか…言っていたが祖父は円が大人になる前にこの世を去ってしまった。

まさか本当にこんなプレゼントを用意していたとは…

円には寝耳に水だった。

しかし祖父が円を思って選んでくれた相手だ。

円は両親の説得もあって
祖父の顔も立てるべきだと
仕方なく会うだけ会ってみることにした。

父親も

「無理強いはしない。

とにかく会ってお互いを知り、暫く付き合って返事をすればいい。」

と言っていた。

そして日曜がやってきた。

円は両親とともに先方に会うことになった。

「あなた、本当に円をお義父さんの決めた人といっしょにさせるの?

無理強いはしないって言ってたけど…
本当に円が気に入らなければ結婚しなくてもいいの?

嘘でしょ?

あそこの家には相当助けてもらってるし
あの家と親戚になれば色々と上手く行くからじゃないの?」

「そんなつもりはないが…

俺だって円には幸せな結婚をさせたいさ。

でも向こうのお祖父さんから強く言われたんだ。

聞いてるはずだと…親父が世話になった人だし…
知らないとは言えないだろう?

円が嫌って言ったら諦めるさ。」

円の父の会社は傾きかけていたが
許婚の祖父が親戚になるのだからと何かと助けてくれていた。

父との約束もあるし、不義理は出来なかった。

実のところ円が気に入ってくれなければとても困る立場だった。

それを知らずに円は断る気でこの場にやってきた。

そしてとうとう対面する時がやってきた。








< 1 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop