純情シンデレラ
私を家まで送っていたら、ずっと待っててくれている印刷所の人たちに悪いし、締切に間に合わなくなる。
それこそ何のためにこんなに頑張ったのか・・・頑張った努力が全て、水の泡になってしまう!

「松本さんはタクシーを呼んで印刷所に行ってください。私は一人でも大丈夫です」
「そうか?・・・おっと」

椅子から立ち上がった途端、少しよろめいてしまった私を、松本さんがすかさず抱きとめてくれた。

「大丈夫か」
「あ・・・はい、大丈夫、です。急に立ち上がったから、少しめまいがしただけで・・。普段、こんなに長い時間、ワープロ入力はしないし、ずっと集中してたから、きっと今は緊張の糸がプツンと切れたみたいに脱力状態になってるんです」
「そうか。分かった。ひとまず会社(ここ)を出よう。君を駅まで送る」
「でも」
「タクシーは駅で拾う。ここで呼んで到着を待つのと、時間的にはそう変わらん」と言う松本さんに、私は頷いた。

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