純情シンデレラ
私がここに来たのは、他にこれといった予定がなかったからであって・・・つるかめ食堂は今日、休みだし。
「予定がなければ応援に来てほしい」と、柔道部監督を務めている上司の上野課長から言われたし。
私一人の微々たる応援が増えたところで、選手のやる気がその分高まるとは思わないけど・・・。

だから私は、あの人のことを見に来たんじゃない!決して!!
と思いながらも、試合中の松本さんの姿を、つい目で追ってしまう。

松本さんの対戦相手は、松本さんと同じくらい、ガッシリとした大柄な体格をしている。
そして、二人とも同じ黒帯だ。
果たして松本さんは、あんな大柄な相手を投げたりひっくり返すことができるのかしら。
それとも逆に、松本さんが相手に投げられたりひっくり返される・・・?

相手が松本さんの柔道着の襟元を掴んだとき、松本さんが投げ飛ばされる!と思った私は、反射的に身をすくませ、ハッと息を止めていた。
でも松本さんは、その場に踏ん張ったみたいで、相手に投げ飛ばされることはなく、相手の手もすぐに、松本さんから離れた。
それだけじゃなく、松本さんは逆襲するように、豪快に相手を投げた。

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