純情シンデレラ
・・・なんだか、時間が止まったような気がする。
周囲の声は聞こえるし、ざわめいた雰囲気も感じているんだけど、ここにいるのは松本さんと私の二人だけのような・・・ってもう私、完全な錯覚に陥ってる!

頭の中で果てしない考えを忙しなく張り巡らせながら、それでも私は松本さんから、目がそらせなかった。

あっちに行くべきなのかな。
松本さんの近くまで行って、何か―――「おめでとうございます」とか―――言った方がいいのかしらとまで思ったけれど、不知火商事の社長令嬢・姫路あゆ子さんが視界に入った途端、私はすぐにその考えを打ち消した。

姫路さんは、彼女の肌の色と同じくらい真っ白なタオルで、松本さんの頬や首を拭いてあげている。
・・・服から靴、そして髪飾りまで全身を赤で統一している姫路さんと、松本さんの白い柔道着のコントラストがなんだか・・・眩しい。

気づけば私は、深いため息をついていた。

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