純情シンデレラ
松本さんとはほんの2・3分くらい会話しただけなのに、たくさん笑った気がする。
なんとなく嬉しくて、心がほぐれたような安堵感を抱きながら居間に入ると、お母さんと目が合った。

「その様子だと、やっと松本さんから連絡来たのね」
「“やっと”だなんて・・まるで私がずっーと松本さんからの電話を待ってたような言い方して」
「あら。違うの?」
「違いますー。でも・・うん。今のは松本さんだった。福山さんじゃなかったから安心して、お父さん」
「けっ。何言いやがる!締切はまだまだ先なんだ。あいつは原稿催促の電話なんざかけてこねえよ」
「それでお父さんは3時間も休憩中なのねぇ」
「物書きにも休憩時間は必要なんだよ」
「あらそうですか。でも、“これ飲んだら上に行く”って言いながら、結局4回もお茶を飲んでずーっと居間にいる“休憩”なんて、珍しいんじゃないですか?」
「ぁんだとぉ!?それが俺の休憩なんだよ!ったく・・奴は大事な娘を泣かせるほど心配かけやがったんだ。気になるのは親として当然じゃねえか。で?大丈夫なのか」
「うん。足首を軽く捻挫してるって。ゆっくりだったら自力で歩けるそうよ」
「そうか」
「でも、松本さんは足を怪我してるんでしょう?何かと不自由な想いをしてるんじゃないの?」
「そこまでは言ってなかったけど・・・」

< 138 / 530 >

この作品をシェア

pagetop