純情シンデレラ
「だが君は、重傷を負ったはずだ」
「そう、ですね。頭を強打していたのか、2週間意識不明の後、目を覚ましてから、記憶が混乱してました。実際起こったことは覚えているんだけど、内容が時期的に違ってたり、思い出せないこともあったり」
「記憶障害か」
「はい。でもそれは3ヶ月くらいで治りました。けど事故が起こった直後のことは、いまだに思い出せません。覚えているのは、体中に激痛が走ったことくらい。でも、すぐに気を失ったのなら、それは当然のことで、たぶん一生思い出すことはないだろうとお医者さんに言われました。それでも恐怖心は残ってるんでしょうね。進んで乗用車に乗れなくなったんです。その頃、リハビリに通うために、タクシーやお父さんが運転する車には乗ってたんですけど、いやだ、乗りたくないと言って泣きわめく私を、両親は無理矢理車内に押し込めていたこともありました。それを不憫に思って、私を眠らせて、その間に車に乗せたことも・・・。最後の3週間は、お父さんもお母さんも諦めたのか、無理に乗せようとはしなくなって、電車やバスでリハビリに通ってました」
「深いな。心身の傷は」

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