純情シンデレラ
「勘違いするな」
「してないわ。あたしは至って正常よ」
「・・・帰ったんじゃないのか」
「まだよ。その前に、このメガネちゃんに一言言っておきたいことがあって」
「ちょっと!また私のことを“メガネちゃん”って・・」
「あら。せっかくあたしがつけてあげた愛称なのに、お気に召さないの?こんな名誉なことは滅多にないのよ」
「私の名前は、見上恵子です」
「まあいいわ。あたし、あなたの名前なんか知っても知らなくてもいいの。他の人たちなんてどうでもいいと思っているように」
「はぁ?」
「だって、あたしから見たら“その他大勢”に過ぎない人たちが、あたしの美しい外見や、社長令嬢という恵まれた地位、そしてお金持ちという境遇に嫉妬しているだけなんですもの。つまり、逆立ちしたって手に入らないものを欲しがってるだけの話なんだから、好きなだけ妬けばいいわ。あたしは気にも止めない。“好き”とか“嫌い”という感情すら湧かない。でもね、メガネちゃん。あなたは話が別」
「へっ!?」

社員食堂はシンとなっていた。
そして姫路さんと私は、明らかに周囲の注目の的になっている。
あぁ、だから私、目立つのは嫌いなのに!

「あたし、メガネちゃんのことは嫌いじゃないわ」
「・・・は?今、なんと・・」という私の呟きをかき消すように、周囲からざわめきが沸き起こった。

「でも」と姫路さんが言い始めた途端、周囲の喧騒はピタリと止んだ。

「松本さんのことを好きなあなたのことは、嫌いよ」
「・・・・・・え」

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