純情シンデレラ
『僕が君に協力したのは、君とつき合ってると周囲に思わせるためだ。そうすれば両親も考え直してくれるかもしれないと思っていたんだが・・これは淡い期待を抱いた僕が愚かだった。それに僕自身も、君を有栖川家の“茶番劇”に巻き込んではいけないと、すぐに考えを改めた。だから、君を利用しようと目論んだのは、本当に最初のときだけだったということは、どうか信じてほしい』と言う有栖川さんに、私は頷いて「信じます」と言った。
有栖川さんとは知り合ってまだ間もないけれど、その間にこの人は私に、誠意をたくさん見せてくれた。
例えばレッスン以外のプライベート事情では会わなかったことや、お互いの自宅の電話番号を最後まで教え合わなかったことも、私をお家騒動――有栖川さんが言うところの“茶番劇”――に巻き込まないための配慮だったのだろう。
何より、有栖川さんは人を騙せない、正直な人だ。
私は結婚する気はないけど、愛する人と結婚をしたいと願う有栖川さんの気持ちは分かる。それだけに、有栖川さんが可哀想だと思った。
有栖川さんとは知り合ってまだ間もないけれど、その間にこの人は私に、誠意をたくさん見せてくれた。
例えばレッスン以外のプライベート事情では会わなかったことや、お互いの自宅の電話番号を最後まで教え合わなかったことも、私をお家騒動――有栖川さんが言うところの“茶番劇”――に巻き込まないための配慮だったのだろう。
何より、有栖川さんは人を騙せない、正直な人だ。
私は結婚する気はないけど、愛する人と結婚をしたいと願う有栖川さんの気持ちは分かる。それだけに、有栖川さんが可哀想だと思った。