純情シンデレラ
「君の方からは何か、わが社に関することや、君の業務に関すること等、話したことがあるのかな」と大津課長に聞かれた私は、少しの間考えて「・・・いえ、ありません」と答えた。

「有栖川さんは、私がここの電算課に所属していることはご存知でしたけど、私の業務内容について、詳しくは知らないと思います。さっきも言いましたけど、有栖川さんは仕事の話をすることを嫌っていたので、仮に私が仕事に関する話をしたとしても、有栖川さんがすぐ話題を変えてしまっていたんです」
「ふーん。あ、そう。ま、君の様子からウソはついていないようだから・・」
「ウソなんてついていません!」と息巻く私に、上野課長が「見上君、落ち着いて」となだめる口調で言った。

「何も君を責めるためにここに呼んだんじゃないんだから。そうでしょ?大津さん」
部下を護るべく、最後は少々凄みを利かせて大津課長に言ってくれた上野課長に、大津課長は慌てた口調で、「ああもちろんもちろん!」と言った。

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