純情シンデレラ
ということは、有栖川建設が、かなり危ない橋を渡って業績を上げ続けているのは本当なのか。
だから関係者である有栖川さんは、私に“火の粉”が降りかからないように、私と連絡を絶っているんだと思う。
それが有栖川さん流の、私に対する「保護」であり、「優しさ」だと解釈しているので、私からも連絡は取っていない。
有栖川さんの想いを酌んで。
そして、有栖川さんの想いを無駄にしないために。

と、そのとき。
姫路さんと“話し込んで”いた松本さんが、やっと私たちのテーブルまでやって来た。

「すまん。遅くなった」と、いつものとおり、理由も並べたてず、潔く謝罪と事実だけを言って席――これも、いつもどおり私の隣――に着いた松本さんに、「今日はいつもより時間かかったな」と宇都宮さんが“労い”の言葉をかけた。

でも、松本さんがいつもより遅く来たのは事実だ。
それだけ“熱心に”、姫路さんと話し込んでいたのだろう。

むくれ顔になりそうになった私は、コロッケを食べることでごまかした。

< 358 / 530 >

この作品をシェア

pagetop