純情シンデレラ
「あたしはこんな体で生まれてきたから、やってはいけないことや制限が、健康な人よりも多くあったとは思う。たとえば、心臓に負担がかかるスポーツとか・・。あなたがいけばなを習い始めたことを知って、あたしもいけばなをしてみたくなったけど、重いものは持てないし、長時間立ちっぱなしなのも厳禁だから。呉さんに1回だけ真似事をさせて、満足することにしたの」
「あ・・・」

じゃあ、あのとき呉課長が「他の習い事もなさっている」と言ったのは・・・。
そして姫路さんが「やめておくわ」と返事をしたのは、会社の人たちとは合わないからじゃなくて・・・。

できなかったんだ。いけばなが。

それだけじゃない。
姫路さんが秘書課に在籍していながら、ほとんど来なかったり、自分で決めた時間に出社をしたり帰ったりしていたのは・・・。

あのとき、「大丈夫ですか」と気遣いながら、お辞儀をして姫路さんを送っていた呉課長のことを思い浮かべながら、私は「呉課長はご存知だったんですね」と、姫路さんに言った。

< 382 / 530 >

この作品をシェア

pagetop