純情シンデレラ
「すまん。遅くなった」

理由も言い訳もなし。
ただ謝罪と事実だけをスパッと言うのは、いかにも実直そうな松本さんらしい。
そして、大柄な松本さんが隣に座っただけで、なぜか私の周囲の空気が圧倒されているような気がする。

「けんじょう君」
「・・・みかみ、ですけど」
「あぁ。そうだったか」

私が思いっきり眉間にしわを寄せ、「え?」という疑問顔で松本さんを見ている中、向かいに座っている宇都宮さんと素子さんは、クスクス笑っている。

「こいつ、人の名前覚えるのが苦手なんだ」
「社内でも有名だもんねぇ」
「顔と名前がなかなか一致しないだけだ。苦手とは言わん」
「そ、そうかな・・」
「そうだ」

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