純情シンデレラ
「あの・・松本さん」
「なんだ」
「本当は、私のことも名前を覚えてないから、“けんじょう君”と呼んでたんじゃ・・・」
「あぁ?違うぞ!確かに俺は、人の名前を覚えるのが苦手だ。特に働く女性は。みんな“流行だ”とか言って、おんなじ髪型にしておんなじ化粧をしてる上にみんな同じ制服まで着てるから、名札をつけない限り、俺には全員同じに見えるんだ」
「じゃあ私だって“その中の一人”ってことじゃない!」
「それは違う」
「どこが違うのよっ!」
「君の名前は、君から初めて教えてもらったときから覚えていたさ!」
「え?だったら、どうして・・・」
「言っただろ?君とは滅多にない最悪な出会い方をしたせいか、君は俺に最初から強烈な第一印象を与えたと」
「あ・・・あぁ」

確か、姫路さんの葬儀の後、居酒屋に寄って、それからタクシーに乗ったときに・・・あ!
あのとき松本さんは・・「好きな人」の話・・惚気たり、「(自分たちが)両想いなことに相手が気づいてない」とか、そんな話をした・・・。

それってやっぱり、相手は・・松本さんの好きな人って、「私」だった・・・のよね・・・?

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