純情シンデレラ
「そんな相手の名前を忘れることなんてできないさ。大体な、一度聞いただけで女性の名前を憶えることができたなんて、俺にとっては初めてだったんだぞ」
「だ、だから、じゃあ・・どうして最初から私のことを“みかみ”って呼ばなかった・・んですか」
「なんかな、呼べなかった・・いや、呼びたくなかった」
「はあ?それって何・・」
「だから、君とはいずれ結婚することになる。だから名字では呼びたくなかったんだ!俺がずっと呼びたかったのは、君の名前だ!」
「・・・へ?」
「それに、わざと違う名字で呼んだほうが君に俺のことを印象付けることができると思ったしな」
「それなら心配しなくても良かったのに。私もあなたのことは、出会ったときから強烈に印象に残っていたから」

松本さんと私の二人で会話をしているはずなのに、今の私たちは、二人とも前を見ながら、ひとりごとを言ってるように、ブツブツと“話して”いる。
それがなんだかおかしくなって、クスクス笑い出した私に伝染したように、松本さんもフッと笑った。

それを合図にしたように、私たちはお互いの顔を見あった。

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