純情シンデレラ
「あ・・それでベルの音、聞こえなかったんですね。ごめんなさい、起こしてしまって」
「鍵持ってないんだからしょうがないよ。眠りこけた俺の方にも非がある。たぶん風邪薬が効いたんだろう。おかげで汗をいっぱいかいちまった」と言って、サッサとTシャツを脱ぎだした松本さんの後姿を、私はその場に突っ立ったまま、両目をいっぱいに開いて見ていた。

でもそこでハッと我に返った私は、クルッと回れ右をすると、「タオル取ってきます!」と言って、お風呂場の方へと駆けて――途中、食卓に持ってきた荷物を置いて――行った。



すぐに戻って来た私は、ベッドに座っている松本さんを見て、ハタと足を止めた。
そして、一歩一歩を踏みしめるように、ゆっくり、彼の方へと足を進める。

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