純情シンデレラ
「それにね、駅長さんは日暮警部のファンだって」
「ほぅ・・・そうか」

「日暮警部のファン」と言う言葉を聞いた途端にお父さんの機嫌が良くなったのは、私とお母さんの予想した通りだった。

「それよりお父さん、駅長さんたちはあまり関係ないでしょ。むしろお父さんは、恵子に痴漢を働いた卑怯者に怒るべきですよ」とお母さんが言うと、お父さんはフンと言ってそっぽを向いた。
お母さんの理論に筋が通っているのは分かってるんだけど、認めたくないという、ちょっとした反抗の仕草だ。

「初日からそんな調子じゃあ、後々困るわねぇ。恵子、どうする?お母さんも一緒に電車に乗ろうか」
「おまえが一緒に乗ったところで、何の解決にもならねえだろ!」
「そうね。それにあの人の多さだもん、お母さんもきっと、根を上げちゃうと思う」
「あらそお?」
「うん。だからいいよ。お母さんだって仕事あるでしょ?」
「そうだったわねぇ・・。なかなか良い考えだと思ったんだけど」と本気顔で呟くお母さんを、お父さんはあきれ顔で見た。

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