純情シンデレラ
家に帰って痴漢のことを両親に話したら、案の定、お父さんは頭から湯気を出しそうな勢いで、カンカンに激怒した。

「なんだとぉ!?俺が必死に原稿を書いていた間、可愛い一人娘はそんな目に遭ってたのか・・・ちくしょうっ!国鉄の奴!」
「JRですよ、お父さん」と言い直したお母さんに、お父さんは「うるせえっ!」と言い返した。

「ったく。これだから元国鉄は。赤字抱えて民営化になっておきながら、相変わらずサービスがなってねえなぁ」
「でも民営化になってから、まだ日が浅いし。それにね、駅長さんや駅員さんは、とても優しくて気遣いのある人たちだったよ。駅長さんなんて、たぶんお父さんより年が上に見えたから、それこそ何十年って国鉄時代に勤めてる人で。でもあのおじさんはずっと、お客さんに電車を利用していただくって精神で、お仕事をしてきたんじゃないかな。電車使わせてやる、じゃなくてね。私にはそういう風に見えた」
「あらそう」と言ったお母さんに「うん」と私は言うと、またお父さんの方を見た。

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