恋の音はすぐそばに
「ありがとう。…未陽、一緒に…」


「もぉ!何回言えばわかるの?私は大丈夫だから!…やっと掴んだチャンス、無駄にしたら怒るからね?」


「う、うんっ!ありがとう!行ってくる!」


お弁当を左手に持ち、空いてる右手で未陽に手を振る。


私個人の理由で未陽を1人にしてしまって。


その罪悪感から一緒に空き教室に…って誘ったけど、長年の付き合いの未陽にはわかっちゃったみたい。


「チャンスを無駄にするな…か」


━━ガラッ。


慣れた手つきで空き教室の扉を開ける。


中庭の見える窓側にある私の特等席。


窓を開けて空気の入れ替えをする。


ふわっと雨の匂いが入ってくる。


ふむ、これは明日は雨かな?


机にお弁当を広げながら中庭を眺める。


中庭では2年生がサッカーを始めていた。


んー、今日は菜緒先輩のクラスが少し押されてる?


押されてるって言っても一点差なんだけど。


あっ、お兄さんの…紫緒先輩?にパスが回った!!


紫緒先輩から菜緒先輩に!



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