恋の音はすぐそばに

レインボーローズ

あれから一週間。


菜緒先輩はまだ目を覚まさない。


毎日お見舞いに行ってるけど、指すら動かない。


私の心は折れかかっていた。


「…今日も行くの?」


「…うん、目が覚めるまで行くんだ」


それが今の私には出来ることだから。


「天音が決めたことなら私は何も言わない。だけど、体調管理はちゃんとしなさい。それで倒れてたら元も子もないわ」


そう言って、心羽はそっと私の目の下を優しく触った。


やっぱりバレちゃった。


あの事故の日から全然眠れない。


寝ることが出来ても、悪夢で飛び起きるのだ。


「うん、わかった。なるべく気をつける」


「そのなるべくが心配ね」


ため息をつくと幸せ逃げるよ?


なんて言ったら怒るだろうな〜。


怒られたくないから言わないけどさ。


「一緒に行けなくてごめんね。気をつけて行ってらっしゃい」


「バイトだから仕方ないよ。じゃ、行ってきます」


心羽に手を振り、家を出る。




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