失恋相手が恋人です
葵くんは予定通りアメリカに留学をし、担当教授からの課題もこなして無事に卒業をしたと後々、吏人くんに聞いた。

私は何のやる気もなくしてしまっていたのだけど。

萌恵や吏人くんに支えてもらって何とか表面上は立ち直ることができた。

顔では笑っていても心の中でずっと泣いていた。

葵くんのことを想わない日はなかった。

必死で就職活動をして、何とか今、働いている不動産会社に就職することができた。

ただ、この業界を目指す上で葵くんのご両親に関わりのある企業は避けた。

それならば業界を変えれば良かったのだろうけれど、そこは私の未練なのかもしれない。

萌恵は目指していた化粧品会社に就職した。

吏人くんも目指していた会社に就職し、二人は相変わらず仲が良い。

卒業式を無事に終えた私は、四年間住んだマンションを引き払った。

配属先からは通える場所だったけれど、どうしても葵くんとの思い出がつまった場所なだけに離れることに決めた。

何よりも自分の気配を消したかった。

今後、葵くんと連絡を取らないということを私は決めていた。

その為にも葵くんとの接点をなくさなければと思った。

スマホの番号もメールアドレスも何もかも変えた。

忘れることなんてできないけれど。

忘れたくないけれど。

前に踏み出さなくてはいけないから。

こうでもしないと直ぐに思い出から脱け出せないままの弱い自分が出てきてしまうから。

外堀を埋めていかなければ、と強制的に決めた。

吏人くんと萌恵にも万が一、葵くんから連絡があっても取り次がないでとお願いした。

二人はとても困惑していたけれど。




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