【完】最後の恋

アキはため息をつき、バッグから手帳を出し、メモを書き始めた。


『古田さん、携帯を忘れていたので届けに来ました。
私が預かっていますので、連絡下さい。
一度、きちんと話もしたいので、待ってます。
星川』



玄関のポストにメモを入れ、アキは部屋から立ち去る。



マンションを出て、外に出ると雨は止んでいた。



マンションを見上げて、目を閉じる。



『古田さん…、ごめんなさい…』
と呟く…。



そのままアキは、呆然と歩き出した…。




当ても無く、アキは歩いていた。



古田と話が出来なかった事が、アキの中には絶望となって襲った。



また、恐怖が訪れる…。


また、前に進めない…。



止んでいた雨がまた降り出す…。



冷たい雨が…。



声を上げて泣き出すアキの声は、雨でかき消される…。



アキは雨の中に崩れ落ちた…。


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