【完】最後の恋
一志はアキの後ろ姿を見ながら、
昔、アキがキッチンに立っている姿を思い出していた。
アキはいつも一志の好物を作ってくれた。
一志はアキの作る料理が大好きだった。
こんな時間がずっと続けばと思い続けていた…。
「アキ…、俺と結婚しよう」
いきなりの一志の言葉に、アキは驚いて皿を落として、
思いっきり大きな音が鳴った。
『ガチャーン!あぁ…』
アキは慌てて割れた皿を拾い始め、
一志も慌てて皿を拾いに行く。
『イタッ!』
アキが手を切ってしまう。
一志はすぐにアキの手を舐める。
「大丈夫か、バンソウコウ張んなきゃな」
と一志が立ち上がろうとした時
『いきなりそんな事言わないで…。
一志はずるいよ…、こんな時にプロポーズなんて…』
アキは立ち上がって、水に手をつけた。