爆走姉貴ー星路の苦悩ー
拓也と雅治は知らないからな。

美月の傍若無人さを。

めちゃくちゃさを。

そして暴力的な事も。



奴が支配者になったらなら…この世は炎獄と化すと言うのに!



「お前ら…数年後、この世が独裁者に支配されたら俺と宇宙に逃げてくれるか?」
「はぁ?」
「約束してくれ!俺と逃げると!」


身を乗り出す俺に、拓也と雅治は顔をしかめる。



「何言ってんだ?」
「迷ってる場合じゃないから!」
「迷いじゃなくて、そんな星路に不可解さを感じてるんだけど」



は……そうか。

俺とした事が先走りすぎたな。



「だよな…突然な話だもんな。まぁ、考えておいてくれ」
「何をだよ」



「宇宙ねぇ〜…女がいるならいいけど」
「ホントか!雅治!」


心の友よ!


「つかさ、女っていえば、この前めちゃくちゃ可愛い女の子に会ったんだよ」


雅治は、大きな目を動かしながら力強く語り始めた。



めちゃくちゃ可愛い女の子?



「宇宙に同行してくれそうか?」
「星路、話が進まねぇから宇宙は置いとけ」
「?!」



宇宙が女の子に負けた?!

生き残りたくないのかよ!二人とも!
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