爆走姉貴ー星路の苦悩ー
黒いワイシャツ、やけにガタイの良い身体。

スキンヘッド……。



舌打ちをしながら起き上がり、呆然とする俺を睨み付ける男性は……。




「どこ見て歩いてんだ!ガキ!」




…………チンピラ様じゃありませんかぁ。






「痛ぇだろぉが!」
「すっすいません〜っ!」
「服も汚れちまったなぁ?どうしてくれるんだよ」



ドスの効いた声で迫るチンピラ様!
ベタな展開に笑うしかねぇなぁっ!!


「何笑ってんだよ!」
「はわわわっ!」


チンピラ様は、俺の服の襟を掴んで締め上げた。

ネッグハンキングツリーですかぁっ?!



「星路?!」


後ろからは、拓也の声が聞こえる。
でも…苦しくて声が出ねぇ……。




ああ、俺はここで終わるのか?

美鈴とキス以上していないのに……。



父さん、母さん。

こんな場所で先立つ不幸を許してくれ。


何も孝行できなくてごめんな。




遠くなる意識………。



さよならだ……みんな……。








「くぉらぁっ!俺の弟に何さらしていやがる!このゆで卵野郎――っ!!」



え?

ゆで卵?
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