爆走姉貴ー星路の苦悩ー
「いいから早く行けよ」



ブオオオォ――!


「うわっぷ!ドライヤー向けんなよ!」
「おらおら、早く行けよ。スチールマン」
「スチールマン?!」



追い打ちかよ!
ひでぇ!ひどすぎる!



「み…美月は心理学を学ぶ者だろ?!」


俺は、顔にかけられる熱風と戦いながら叫んだ。



「それがどうした」
「そういう人間が、安易な発言で人を傷付けるのはどうかと思うぞ!」



「……ぷっ!」



必死に意見を主張した俺を、美月は笑った!


「星路、傷付いてんの?」
「笑いながら言うな!」


この悪魔が!



「あたしには、お前程度の頭では理解できない崇高な役目がある」
「何だよ!それ!」
「あたしは、神から選ばれし美しき戦士だからな」
「自分で言うな!軽く聞こえる!大体神がこんな理不尽さを許すか!」



ホントは悪魔に選ばれたんじゃないのか?!
こんな不平等を人間にした様な奴に、神は何を求めていると言うんだ!




「何度言っても無駄なら、三種の神技を出すぞ」



三種の―――っ!






「うわあぁっ!」


美月の台詞に、俺は転がる様に洗面所を飛び出した!
< 8 / 114 >

この作品をシェア

pagetop