爆走姉貴ー星路の苦悩ー
綺麗に巻いた長い髪を揺らし、大きな瞳で笑う美月。


店内からはすでに、若い男性客からの熱い視線が注がれている。




皆さん……いくら可愛くても、この人は元は男ですからね?







「美鈴ちゃん、まだ来ないんだぁ」
「……美月は何で来たんだよ」
「あたしも待ち合わせ〜」
「わざわざここでかよっ!」



美月は、ニヤリと笑った。


その笑みに、ゾクリと背筋に悪寒が走る。

これは…美月が何かを企んでいる時に見せる表情だ。


「何か…企んでるだろ」
「は?企むなんて人聞き悪〜い!」



美月は頬をふくらませ、瞳を細める。
何かわいこぶってんだよ。



「企んでないよ。少し引っ掻き回したいだけだよ」
「尚更悪いわっ!」


しかも平然と悪びれも無く言う所が!

やっぱ美月だ!
セッティングした時点で、悪知恵は発動されていたんだ!


俺の為じゃなく、自分の娯楽の為だったんだなぁっ?!





「あ…こっちだよ〜!」




出入口を見つめていた美月が、手を挙げて振り始めた。


どうやら待ち合わせの相手が来たらしい。




「初デートなんだよね」



ああ、そう。
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