同期の彼と私のカンケイ
「……いつき、おねがい」

「よし、こっちへ来い」

彼のバリトンボイスが耳をかすめるのと同時に抱き上げられ、背中が柔らかなクッションに当たった。

同時に彼の指が私の弱い部分に触れ、たまらずに身をよじると、逃げるのは許さないとばかりに元に戻された。

「ん、いつき……」

胸元に埋まった彼の唇から生まれる熱に翻弄され、ひたすら声を漏らして快感に身をゆだねる。

彼の情熱が体を貫いて意識が蕩けると、ようやく腕の中から解放された。

「紗雪、平気か?」

彼の指が私の髪にそっと触れ、整えるように撫でる。

終わったあとはいつもそうで、私の体をいたわるのを忘れない。

こんなときは、彼に愛されてるのかな……と思ってしまう。

けれど、私は彼の恋人ではない──。

「うん、少し休めば大丈夫」

「そうか。俺、シャワー浴びてくるから、少し休んでろ」

「ん、ありがと」

バスルームの中に消えていく彼の背中を見送り、私は仰向けになって天井を見上げた。

暖色系のライトが埋め込まれた天井は、大きなベッドのある部屋をムーディな色に染めている。

ドアの方を見やれば、彼に脱がされた私の服が点在しているのが目に入り、気だるい体を起こして拾い上げた。

ここは川沿いにあるシティホテルで、彼と私が会うお決まりの場所。

『今夜いつものところで』

『了解』

約束を交わすラインの会話はいつも短い。

ラウンジで待ち合わせて少しお酒を飲んだ後、部屋で体を重ねる関係。いわゆるセフレだ。

彼に何人の女がいるのか知らない。

けれど前触れもなく急に誘われると、他の女に断られたのかな?などと勘ぐってしまうときがある。

私は、彼にとって何番目の女なんだろうか……。

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