伝説の華
夏希side

2年ぶりに話した彼女は昔よりも綺麗になっていたけど、優しいところと泣き虫なところは昔と全然変わっていなかった

案の定、あむは俺を見た瞬間に泣き始めた

あむの泣いてる姿を見ても可愛いと思ってしまう俺はやっぱり、あむにベタ惚れなんだ

その後、俺らは話せなかった2年分の空白を埋めるかのようにたくさん話をした

金龍の姫になったと聞かされた時は驚いた

それと同時にあむが笑顔で入れる理由が分かった

俺よりも大切な人ができたんだな

だったら、俺は潔く手を引かないとな

あむの中ではカッコよくいたいんだよ

だけど、最後くらいは言わせてくれよ

夏「まだあむのことが好きだ。
だけど幸せになれよ、あむ」

あむに向かって小さく呟いたこの言葉は誰にも拾われることなく消えていった


コンコンコン

少ししてドアが叩かれた

一瞬、あむか?って思ったけどそんなことないよな

夏「入れ」

怜「失礼します」

そう言って入ってきたのは、一般人とは違うオーラを放った知らない男

夏「誰だ」

怜「神代 怜、金龍の総長です」

こいつがあむを救ったヤツか

確かにこいつの瞳は真っ直ぐで強い意志を持っているな

夏「何の用だ?」

怜「俺にあむを下さい!
お願いします!」

夏「は?」

いきなり突拍子もないことを言われて思わず間抜けな声を出してしまったな

それより、俺にあむを下さいとかこいつバカなのか?

夏「あむの心はもう違うヤツに向いてる」

怜「え…」

俺も意地悪だから、素直には教えてやらねぇ

夏「男なら当たって砕けろ。
あむに想い伝えてみろよ」

怜「はい!
ありがとうございました!」

だけど、背中くらいは押してやるよ

これぐらいなら許されるだろ?

あむの心を奪ったんだから

夏希sideend
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