クリスマスイブの贈り物
送り状を確認して、宛先人のところに【千川 あいな】という文字を見つけて息が止まった。
いやいや、ないない。
俺が知っている“あいな”は愛奈と書くのだ。
いや、それとも本人で、俺と別れてからの間に、イブにこんな高級ホテルで過ごすような相手を見つけたということか。
どちらにしても俺にはもう関係ない。
ホテルのエントランスをくぐると、大きなクリスマスツリーが出迎えてくれる。
ロビーにいた人々は、サンタの来訪に歓声を上げ、特に子供が大喜びしてよって来る。
こんな小さいうちから高級ホテルでディナーなんか食わせたら贅沢が染みついちまうぞ。
大きくなって、彼氏になる男が大変だろうよ。……俺みたいによぉ。
未練たらしく思い出す愛奈の影。俺は首を振ってそれを頭から追い出した。
もう思い出すなよ。振ったのは俺の方だろうが。
気を取り直してフロントに向かい、荷物を見せる。
「宛先が七〇八号室になっているんですが。お預けしても構いませんか?」
「ああ、本当ですね。荷物が来るとは伺っておりませんでしたが。……少々お待ちください」
フロントは宿泊予約を確認している。
その間、俺はその荷物の差出人を確認する。
“西島隆俊”
人気の俳優の名前と同じで、これにもまた驚く。
まさか本人であるはずがない。そもそも、それは芸名だろうし。
この名前に生まれついた奴は不幸だな。相当顔がよければいいけど、どうにも名前負けしてしまう。
「確かにご予約いただいているお名前です。まだチェックインされていないので、お預かりします」
「お願いします」
彼氏からのプレゼントなんだろうか。
でもそれなら、手渡しすればいいだろうに。
しかも女の名前で部屋の予約取るって。
微妙にしまらないな西島隆俊。
ろくな男じゃねぇよ、あいな、って言ってやりたいくらいだ。
それから、俺はサンタの仮装のまま配達を続ける。
でも頭から愛奈のことが離れない。
くそう。こんな時にあんな名前を見せられたからだ。
いやいや、ないない。
俺が知っている“あいな”は愛奈と書くのだ。
いや、それとも本人で、俺と別れてからの間に、イブにこんな高級ホテルで過ごすような相手を見つけたということか。
どちらにしても俺にはもう関係ない。
ホテルのエントランスをくぐると、大きなクリスマスツリーが出迎えてくれる。
ロビーにいた人々は、サンタの来訪に歓声を上げ、特に子供が大喜びしてよって来る。
こんな小さいうちから高級ホテルでディナーなんか食わせたら贅沢が染みついちまうぞ。
大きくなって、彼氏になる男が大変だろうよ。……俺みたいによぉ。
未練たらしく思い出す愛奈の影。俺は首を振ってそれを頭から追い出した。
もう思い出すなよ。振ったのは俺の方だろうが。
気を取り直してフロントに向かい、荷物を見せる。
「宛先が七〇八号室になっているんですが。お預けしても構いませんか?」
「ああ、本当ですね。荷物が来るとは伺っておりませんでしたが。……少々お待ちください」
フロントは宿泊予約を確認している。
その間、俺はその荷物の差出人を確認する。
“西島隆俊”
人気の俳優の名前と同じで、これにもまた驚く。
まさか本人であるはずがない。そもそも、それは芸名だろうし。
この名前に生まれついた奴は不幸だな。相当顔がよければいいけど、どうにも名前負けしてしまう。
「確かにご予約いただいているお名前です。まだチェックインされていないので、お預かりします」
「お願いします」
彼氏からのプレゼントなんだろうか。
でもそれなら、手渡しすればいいだろうに。
しかも女の名前で部屋の予約取るって。
微妙にしまらないな西島隆俊。
ろくな男じゃねぇよ、あいな、って言ってやりたいくらいだ。
それから、俺はサンタの仮装のまま配達を続ける。
でも頭から愛奈のことが離れない。
くそう。こんな時にあんな名前を見せられたからだ。