聖夜の奇跡
すると、
たちまちフワフワと浮き立つようないい気分になってきた。

私はお酒にヨワいのだ。

そうしてつい調子に乗って、友人とのお喋りみたいに社長に向かって溢していた。 

「フフッ…そう、それで。
相談所のアドバイザーさんに叱られちゃいました。『アナタもいい年でしょうが。ゼイタクよ』って。
まあ、確かにそうなんですけどね~」

1つ、言い訳させて貰いたい。

ハタチの時から最上級の男性に仕え、間近に見てきた私の、男性を見る目のボーダーが無意識に上がってしまうのは、仕方ないことじゃないか!

だとしたら、貴方にも責任はあるんですよ?社長。

ジロリと彼を横目に見た私は、
途端に酔いから醒めた。

社長が眉根にシワを寄せ、真顔でこちらを睨んでいる。

しまった!
礼儀にはとても厳しい方なのだ。


「す、すみませんっ、私ったら社長にこんな…」

「いや、構わない。
それよりも気になるのはね……」


一端言葉を切ると、彼はゆっくりと私の側に移動してきた。
< 8 / 13 >

この作品をシェア

pagetop