7年越しのふたりの約束
約束の場所とシンデレラタイム
 紗羽は、タクシーから降りて地上から空に向かってそびえ立つタワーホテルを見上げた。

 近くには海があり、このタワーホテルはオーシャンビューの部屋が好評だ。

 クリスマスと言うことで、ホテルの外からエントランスに至るまで、キラキラとしたイルミネーションに包まれ、幻想的な大切な人と過ごす日を演出している。

 エントランスを一人淋しく通り、部屋まで案内してもらう。

 部屋は最上階の一つ下。

 客室係が、去るのを確認し、紗羽は思わず窓に駆け寄った。

「わぁ~!!素敵!!」

 窓の外には一面に広がるオーシャンビュー。

 イルミネーションのネオンが反射し、光の海に浮いてるような気持ちになり、この景色を何だか独り占めしてるようだ。

 上着を脱ぎ、窓際の回転椅子に座り、部屋を見渡す。

 大きなクリスマスツリー、冷えたシャンパン、豪華なオードブル、恋人仕様でバラを散らされたキングサイズのベット。

 これらは、今日のために7年前に予約した時のオプションの数々だ。

「尊……。」

 来るかどうか分からない恋人の名前を呟いた。
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