ひとつの輝き

あたしがソファーに座って、しばらくした後、渉は入ってきた。 

「お疲れ」


バイト帰りの渉に一言、声を掛けた。 


「あぁ」 


渉はソファーに腰を下ろし今まで以上に凄い深いため息をした。 


「なぁ…何かあった?」

「えっ?」

「お前さ最近、全然電話にでねーじゃん」

「あー…」 


当り前の事に言い訳すら思いつかない。 


「何かあっただろ?」


あたしは動揺したかのように首を素早く振ってしまった。 


言えない…

言えない… 


怖いぐらいにリピートされる。 


言おうって思っていたけど、渉を目の前にしたら口が閉じる。 


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